本日、多動症の子供を持つご家庭の方と一緒に一日過ごす経験を持ちました。僕にとって、多動症というと、先日読んだ「多動力(堀江貴文)」の印象くらいしかない状態でした。この著書については、以前、記事を書きました。で、そんなワケで、「多動症」と認定されている子どもと、実際に接する機会というのは、当然のことながら初めてでした。
どんな感じだったかというと、会ってすぐに虫取り網を見つけて、外へ出ていく。ウチの三姉妹とその子のお姉さんと5人連れだって出ていくと、明らかに行ってはいけないゾーンを越えていこうとする。……と、初めっから、見事な暴走っぷりでした。
お姉さんにとがめられ、踏みとどまり、もといた建物に戻った頃にその子のご両親は買い物に出かけました。
次にその子は、ピアノを見つけガンガンたたき始めました。5分くらいたたいていたかと思うと、玄関の方へ行き、「まだ帰ってこないの?」と聞いてきます。次に建物内に飛び込んできたトンボを少しの間、追いかけまわしました。そして、すぐに玄関の方へ行き、「まだ帰ってこないの?」と聞きます。その後、ウチの長女が使っていたiPadに手を出し、少しの間いじっていたかと思うと、すぐに玄関の方へ行き、「まだ帰ってこないの?」と聞きます。そしてまた、ピアノをたたき始めます。
その間、その子のお姉さんとウチの三姉妹たちは、いろいろ遊びながら、楽しく過ごしていました。その子は、もっとも活動していながら、もっとも退屈そうにしていました。
ああ、これが多動症であり、これが多動力につながる可能性があるワケか……と、妙に納得してしまいました。新しいものに興味を持つこと、それにすぐ退屈し、さらに新しいものに興味を持つこと。程度問題、興味の矛先などはありますが、これってまさに堀江氏の言う多動力なワケですよね。
その子が3週目くらいにピアノをたたいていると、お姉さんが、「うるさい!弾けもしないのに弾くな!!」と、とがめました。仕方なくやめて、別のことをし始めます。けれど、それにも飽き、5週目くらいにピアノをたたき始め、それも飽きようとしたところで、ふと、こう言ってみました。
「テキトーにたたくのなら、黒鍵だけをたたいてみな」
※知っている人は知っている話なのですが、黒鍵のみの音階は「和声長音階」と一致しており、結構テキトーにたたいても綺麗なメロディーになります。
ピアノに飽きていたハズなのですが、どうやら興味を持ったらしく、素直に黒鍵だけを弾き始めました。今までのハチャメチャな音ではなく、突然調和のとれたメロディーに変わります。
「きれいやろ?」と聞くと、「うん」と応え、少しの間ですが、熱心にピアノを弾いていました。
その子にとって、それが何かになったとは思いません。しかし、なんだか印象的な経験でした。