副業をやるとしても、サラリーマンはなにかと制約が多いです。努めている会社の社風にもよるとは思います。僕の勤務先は副業なんてもっての他といった感じです。それでも夜な夜なパソコンに向かって、挑戦してきたことについて書くことにしました。すべて在宅でできるものです。
ちょっと専門的なものも混じっていますが、当初は僕もノースキルで始めているので、誰だって挑戦できるレベルの内容なハズです。(まとめページはこちら)
どちらかというとIT系。ひたすらPCに向かう在宅ワークばかりに取り組んできた。しかし、ちょっと視点を変えて全然別なものにも取り組んでみることにした。
で、選んだのはminneで手作りの何かを売ること。一時期流行ってましたもんね。
さて、番外編としたのには理由があります。
それは……1円たりとも利益が発生していないからですw
ただの趣味みたいになってしまいましたw
この記事を読んでいる人の多くは人の趣味なんかには興味がないはハズです。なので、実際に作ったものの話をする前に、副業としてminneをやっていける可能性があるかどうか、自分の身の回りの成功者に付いて少し書いておきます。
ものづくりって在宅でできるものだし、好きなことで収入を上げられたら最高ですよね!
ハンドメイド商品ってあまり高くないものが多いです。この段階でちょっと考えて欲しいんですが、そういうものはせっかく作って売って利益が出ても、時給換算するととんでもなく安くなるんです。
つまり、ある程度高級品を売らないと、副業としては成り立たないんですね(^^;
ちなみにですが、ここまで読んで、「好きなことをお金にできているわけなんだから、時給は安くたって良い!」と、僕の記事に反感を持たれた方もいるかもしれません。
実際のところ、minneにはそういった方たちが大勢います。こういった方たちの商品は高品質、低価格です。
つまり、minneで商売をしようって人はこういう人たちがライバルとなるわけです。物凄く稼ぎにくい場所だと思った方が良いでしょう。
さて、そんな中、成功している人に家具職人さんがいます。そもそも本業が家具職人です。知識もスキルも道具もすべてそろっています。そして、商品の単価が高い。もうね……間違いなく成功するよねw
本業ではあまり作らないようなカラフルなタイルをふんだんに使ったデザイナーズ家具的なものを販売されていました。
見出しを見てなんじゃそりゃと思われそうですね。手芸系の商品です。自分のオリジナルのキャラクターを作っていてそのキャラクターにオーダーメイドでそのお客さんにちなんだものを持たせた人形のようなものを売って成功されている方がいました。持っているとご利益があるオマケ付きですw
そんなもの売れるのか?って感じがしますね。
実はこの方、営業熱心で、百貨店に入っている雑貨屋にも商品を卸されていました。
商売をする上での下地が違う……。
minneは販路の1つに過ぎなかったワケですね。
口コミが口コミを呼び、商売を拡大されたようです。
そんなワケで、minneはど素人が成功できるような場所じゃない……というのが、僕の正直な感想です(^^;
上の2つの例から導き出される戦略を考えます。きっと様々な考え方があるとは思うのですが、僕はトコトンシンプルに考えたいので、単純化してしまいます。
ようするにこの2つでしょう。この2つをやらなければ、全く売れないか、売れても損するかってことです。
さぁ、考えましょう。
……。
……。
……。
……無理ですw
そこで、僕なりに考えだした結論は……とりあえず、なんか作る。そして、「minneやってみた」っていうブログネタにするw
はじめっから負け戦確定のコンセプトですねw
これに挑戦しようとしていたのは、6月頃でした。ちょうど夏に差し掛かる時期でした。ちょこちょこminneのサイトを見ていたところ、Tシャツのキャンペーンを始めるようでした。
そこで、安易にキャンペーンに乗っかってTシャツを出品することにしました。オリジナルのTシャツを作成できるサイトなんていくらでもあります。これだとサクサク作って、サクサク出品して、サクサク記事を書くことができそうです。
実際にこのサイトで印刷してみました ⇒ https://tmix.jp/
出来上がりを見つつ……う~ん、これじゃ大した記事かけなそうだ……そして、ぶっちゃけプリントTシャツって好きじゃないんだよな……
どうせなら、もうちょっと……と、散々考え、染めることにした。Google検索やらminneやらで、染め系のTシャツを捜すと、いろいろ見つかります。が、どれもこれも着る気がしないんですよね。
プリントでは簡単に1か所に図柄を入れることができるのに、染めるとなるとそうもいかないんです。どうしても全体を染め、絞りなどを入れて模様を作ることになります。
地味な色で染めると地味になり、派手な色で染めると派手になる。二色を組み合わせて染めるとやっぱり派手。ちょうど良いあたりってのが、難しい。やっぱり僕のような印象を持つ方も多いのか、人によっては地味な色で染めたシャツにプリントを施す人もいました。
でも、できればプリントはしたくない。
で、地味な色で染めてイラスト部分の色を抜くことにしました。イラスト部分を白い状態で残し、周りだけを地味な色で染める。染める色は手軽に利用できるもの……ということでコーヒーを選びました。
さて、次はどうやって、色を抜くかです。やり方は大きく分けて2つです。抜く部分を染めずに周りだけを染めるか、全体を染めた後に脱色するかです。
さて、少しずつテンションが上がってきました。一応、僕は京都の友禅染関係の職人の息子だったりしますw
色々考えた結果、ろうけつ染め(蝋結染)という技術を使うことにしました。
ろうけつ染めっていうのは、染める前に溶かしたロウで模様を書いておき、染めてから、ロウを取り除くという方法です。すると、ロウの染み込んでいた部分は染まらずに残ります。
様々なろうけつ染めの作品を検索してみて分かったのですが、ろうけつ染めにはしっかりロウを染み込ませておいても、ロウのひび割れた部分が染まってしまうという欠点があります。でも、それが逆になんとも趣深く、気に入ってしまいました。
コーヒーでムラのある自然な色合いに染まり、白い図柄はひび割れている。そんなTシャツ。柳宗悦の「無作為の美」に通ずるものがある!
コンセプトは「土から出てきたようなTシャツ」
これでいきます!
さて、実際に染め始める前に材料や作業内容についてまとめておきます。
まずは100均で、ロウソクやら筆やらチャコやらプラ版やらマステやら……必要そうなものを買い集めてきました。で、バットやらボールやらなんやらかんやら……を近くのホームセンターで買い集めてきました。
次に作業の手順です。
下処理と色止めについては、実際に染色をしたことがない人には馴染みのない言葉だと思うので、ちょっと説明しておきます。(僕も初めて知ったんですけどね(^^;)
綿や麻など、植物性の素材ってのはそのままでは染まらない。なので、染めたい時にはタンパク質で下処理をする必要がある。牛乳、豆乳、大豆の煮汁などを使用し、30分程度付け置けばよい。
漬け終わったら、しっかりと絞って陰干しにする。水洗いをしてはいけない。タンパク質を付着させるのが目的のため、染め終わるまでそのままにしておく。
今回は豆乳と水を1:1で割ったものに30分間漬けることにした。
染め終えた後、色止めの処理をしなければ、どんどん色落ちしていく。それはそれで味が出て良いようだが、あまり他のものに色移りしてしまっても困る。
ミョウバン液に漬ける、食塩水に漬ける、市販の色止め剤を使うなどの方法がある。
実はコレ、なかなかうまくいかない。どの方法を使っても完全に色が止まることはないように思う。(全部試したw)最終的に市販品を使ってしまうのが一番お手軽という結論に達した。ミカノールというのを使用している。
始めるにあたって、いろいろ調べたんですが……実際のところはやってみないことにはよく分からないんですよね(^^;とりあえずは作ってみて、それから今後の方針を考えることにしました。
とりあえずは自分のロゴで試してみることに。不要なTシャツを準備し、裾の方にひっそりと描き……で、染めてみました。
ところどころ線が消えてしまいました。どうやら、原因はロウの温度のようです。ロウの温度が高いと、完全に液状になってしっかりと布に染み込むんですが、温度が低かった場合には表面だけにロウがついて上手くいかないようです。
それから、綺麗な線を描くのはかなり難しいということも分かりました。実際の職人さんのとうけつ染めも、遠目には成功に描かれているようでも、細かい線が表現できていることにも気が付きました。
まぁ、ちゃんと色が抜けなかったりして、線がブレているのも味わい深いとは思いますが。
というわけで、本チャンではロウの温度を高めにして、線が粗くても問題がないデザインでいくことにします。
線が荒くても味が出るデザイン。コーヒーの色合いを活かす。土から出てきたような服……。古代人のTシャツが発掘されたらコレだった!みたいなw
そこで、古代人のTシャツについて調べようと思ったのですが……
Tシャツの流行は1950年代とのことなので、古代の人は着ていないようですw(←当然だろ!!)
「欲望という名の電車」という映画の俳優さんが着ている白いTシャツがきっかけだったようです。
ヒエログリフで「I♡NY」と書かれたTシャツを着るファラオを想像してみると結構楽しいですけどねw
散々考えた末、2つのデザイン原案にたどり着きました。
一つ目は古い文字をレイアウトしたもの。ヒエログリフ、楔形文字、甲骨文字など古い文字って、味があるものが多いですよね。そして、どの文字についても発掘されたものは古びており、まっすぐな線のまま残っていることは少ないです。ロウでTシャツに描いたくらいのクオリティでも十分でしょう。
二つ目はナスカの地上絵。これも線自体はある程度不揃いで、ナスカの地上絵、南米、コーヒーと連想できるってのもコーヒー染めをやるなら素敵な連想じゃないですか?
とまぁ、散々考えた末に地上絵を採用することにしました。実を言うと、初めはヒエログリフにしようと思っていたのですが、ヒエログリフを書くための本を買って読み始めた段階で、テンションが下がりましたwホントは読書は好きなんですけど、そりそりサクッと作って終わりにしたいという気分にw
さて、ナスカの地上絵とは言っても、実はそれなりに種類があります。多分、一番有名なのは「ハチドリ」でしょう。構図をいくつかに絞るためにナスカの地上絵について調べていると、2年前にナスカのほど近くからパルパの地上絵という新しい絵が発見されたということを知りました。
パルパの地上絵はナスカの地上絵よりも100年ほど古くに書かれているようです。その代わり大きさは100分の1くらいとのこと。せっかくなので、これはぜひ作ってみたい。最終的にナスカの地上絵の「ハチドリ」とパルパの地上絵の「帽子をかぶった人」を採用することにしました。
構図が決まったので、不要なタンクトップ4枚に次々描いて染めてみました。
絵の質にかなり開きが出たのは、筆をいろいろ試したせいだ。最終的に丸型0号の細い筆、そして馬毛など天然の素材を使ったものが良いということが分かりました。(それでも熱のせいですぐに曲がってしまう)
また、改めて考えると、デザイン自体はワンポイントのプリントTシャツと大差がないことにも気付きました。予想以上に綺麗に染まってしまったんで、ただのプリントシャツみたいにも見えそうです。もっとムラのある仕上がりだとより面白いかな……。そこで、絞り染めの手法も追加することにしました。
そろそろ納得いく仕上がりにしたいところです(^^;そこで、気合を入れてろうけつ染め用の筆を購入しました。熱にも強いらしいです。
火加減を調整し、筆を着ける。しかし、いきなりのミス!丸形0号よりかなり太いことを考慮に入れるのを忘れ、ナスカの地上絵を描く際に派手にはみ出しました(^^;
太さに気を付けながら、パルパの地上絵に取り組む。順調に作業を進めていましたが……。
筆が焦げた!
熱に強いろうけつ染め専用の筆とはいっても、使えなくなるみたいです。同時に100均の筆も使ったんですが、こちらは毛がほとんどなくなってしまいましたw
さて、2本の筆を犠牲にして、「パルパの地上絵・帽子をかぶった人Tシャツ」が完成しました。
好みは人それぞれですけど、自分なりにはコレは会心の出来です。絵の仕上がり、染めムラの度合い、言うことなし!土の中から出てきた感じがする♪16世紀のマヤ・アステカの人たちの間で流行っていたTシャツが最近発掘されたと思えなくもないw
パルパの地上絵が上手くいったので、ここでやめてしまおうかとも思ったんですが、ナスカの地上絵の方もなんとか完成までもっていきたいところです。
なんといってもこちらの方が有名ですし(^^;パルパの地上絵は知らない人にとっては、ただただ不気味な絵に見えますw
さぁ、ナスカの地上絵「ハチドリ」に再挑戦!!!
と、さすがに4回目。記事に書くほどのミスは起こらない。大した苦労もなく、完成してしまった。
会心の出来!インカの遺跡から発掘されたTシャツ……と思えなくもないw
さて……サクッと記事を書いてしまいましたが、実はこのシャツ、着想を得てから、完成するまでに実に1か月以上かかりましたw思ってた以上に失敗だらけでした(^^;
そして、なんだかんだ忙しいサラリーマンなので、1枚のTシャツを作るのにも……
月曜日:下処理火曜日:陰干し中
水曜日:下絵を描く
木曜日:染めて色止め、ロウを落とす。
金曜日:陰干し中
土曜日:ロウが落ち切っていなければ、洗い直しw
と、最短でもほぼほぼ1週間かかってしまっていたり(^^;
で、これをやっていたのは去年の話で、minneに一応出してはいたのですが、まぁ、当然売れず……というか、あまり真剣に売る気もなくかなり高額で出していたりするのですがwだって実際、時給換算すると、数万円は欲しいくらい手間かかってますし。そして、もし、定期的に受注することになると……しんど過ぎます(^^;
ちなみにですが、売れませんでしたが、昨年末になって、1件のいいねがつきました(^^v
まぁ、もし購入していただける方はこちらです ⇒ ナスカ・パルパ